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2008年6月23日月曜日

解離性障害とはどんな病気?

子供の頃、友達とけんかをしたとき、「正義の味方に変身してやっつけてしまいたい」と別の自分に変身して、今の状況から逃げたいと思った経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
しかし、「友達とケンカ」という出来事は、変わり身のはやい子供にとって、深刻な体験ではありません。

たいていすぐに仲直りし再びケンカしたりしながら、一貫した「自分」(同一性)というものを作り上げていくものです。

ところが、子供時代に直面した出来事が、ひどい虐待や陰湿ないじめ、また親の自殺現場に直面したなど、耐え難い「トラウマ」を受けた場合では、この同一性が阻害されてしまいます。つまり、今苦痛を感じて苦しんでいる自分を別の人だとする解離機能を使って処理しようとします。
これは、心と体が別々の行動をとったり、記憶をなくすことで、置かれている苦しい状況を回避しようとする働きです。

「正義の味方に変身して・・・」に似ていますが、この場合、別の自分が消えるわけではありません。

つねに別の自分は存在し、中には空想的な仲間をどんどん増やし、自分の中に何人もの別の人格が住みつく場合もあります。

症状について

解離性障害の症状は、心と体が別々の行動をとったり、記憶をなくすなど、多彩です。

■解離性健忘
本人にとってショックな出来事が起きた後、数日間~数週間の記憶が失われます。

■生活史健忘
自分がどこで生まれて、どんな育ち方をしたのかなど、自分の生活史に関する記憶のほとんど、あるいは一部を失うことがあります。

■解離性遁走
しらないうちに家庭や職場から突然失踪し、知らないうちに別の場所にいる。2,3日さまよったり、まれに数週間もさまようことも。
長期化すると全く知らない土地で別の生活を始めようとすることもあり、家族から捜索願がだされることもあります。

■解離性運動障害
手足が動かなくなり、人の介助なしでは立ったり座ったりできなくなります。

■解離性混迷
座ったり、横になったままの状態が続き、話しかけても反応しない。
音や刺激にも反応しないことがあります。

■解離性知覚麻痺
皮膚の感覚が鈍くなり、刺激を受けても感じません。

■多重人格(解離性同一障害)
二人以上の別の人格(交替人格)が現れ、別の人格として会話や行動をします。
それぞれの人格はそのままに成長していくこともあり、たいていは、多重人格の中に子供の人格が一人形成されています。

周囲の人の対応

解離性障害の治療は「周囲のケアがなければ無理」といわれています。

患者さんの行動や言動を、理解できないと感じても、すべて受け入れてあげることが大切です。

多重人格の場合では、まったく別の人格が、つらい子供時代の話をしたりすることもあります。

そんなときも否定することなく「すべて話してしまおうよ」などと、聞いてあげることがとても大切なのです。